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by ritouki

台湾点描「萬新鉄路の面影」

 日本の鉄道ファンにとって台湾は垂涎の地であるということを聞いたことがあります。日本時代から台湾を南北に貫く縦貫鉄道が開通していた台湾では、当時の駅舎が今でも多く残されていたり、引退した車両が大切に保存されています。また、在来線の台鉄に乗車するとどこか懐かしいような車両に巡りあうこともあり、鉄道の方はからっきしという私でも、日本の鉄道ファンが台湾に惹かれる理由を垣間見られたような気になります。

 台北市内には日本時代に敷設され、戦後まで活躍したものの、現在ではすでにその姿を消した「萬新鉄路」という路線がありました。台北市西部の下町、萬華から南部の新店までおよそ10.7キロを結んだ私鉄です。もともとは産業鐡道として作られ、石炭や木材、セメントや肥料などを運ぶためのもので、旅客運送は主目的ではなかったようです。

 旅客運送の開業は1925年(大正10年)1月25日ですが、それ以前から貨物運搬としての路線自体はすでに存在していたようです。ただ、開業とはいっても路線沿線の土地買収が難航し、当初予定していた全線開業ではなく、始発の萬華駅から水源地駅(現在の公館付近)までという限定開業でした。ちなみに萬華駅で、官線とよばれた縦貫鉄道に乗り換えができました。
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 萬新鉄路は台北帝大の教職員宿舎が多く集まるエリア(現在の汀州路付近)を走っていたため、後にこの路線は帝大の教職員や学生にとって重要な足となりました。台北帝大最寄り駅だったのは「水源地」駅。現在のMRT公館駅からみるとだいぶ西側、羅斯福路の一本南側にある汀州路に位置していました。萬新鉄路は1965年3月、貨物運搬業務の激減や、バス路線の充実化によって衰退してその役割を終えました。水源地駅の隣にあった職員宿舎は近年になって修復され、人気のカフェとして生まれ変わっています。
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 萬新鉄路は調べてみるとまだまだ面白い発見があります。さらに踏み込んだ記事は改めて別の機会に書こうと思います。
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by ritouki | 2012-07-29 20:08 | イベント