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by ritouki

竹山神社へ

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 今日は台湾中部、南投県竹山鎮を訪れています。もともと別件の取材でやって来た竹山ですが、途中タクシーの窓から鳥居を発見。次の取材の時間まで40分近く余裕があったのでちょうどよく、写真を撮って来ました。

 南投県でも最も南に位置する竹山は、明の時代、鄭成功の臣であった林圮によって開墾が進められました。そのため「林圮埔」という地名が日本時代半ばまで使われていましたが、1920年(大正9年)、竹林が多く、良質な竹の産地であったことから「竹山庄」と改称されました。1931年(昭和7年)には「竹山街」に昇格。戦後も「竹山」の名が継続して使われ、現在に至っています。

 竹山神社があったのは、竹山鎮の西側にある高台。現在は鎮公所(役場)などの公共機関が集まる場所となっていますが、本殿があった高台からは緑に包まれた竹山の美しい風景が望めます。
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 神社への入り口は大きな鳥居。保存が良かったのか、見たところ激しい損傷もなく、比較的新しい印象を受けます。ほぼ完全なかたちで残っているといえるでしょう。ただ、上部に突き出ている突起は戦後に改造されたものであるとか。

 実はこの鳥居から本殿があった場所まではゆるやかな坂道でおよそ500メートルあります。車でも結構走る、と感じたくらいですから、徒歩の場合ははかなり距離を感じるかもしれません。日本時代の資料を見ると、ここが一の鳥居、本殿の手前の石灯籠があったところに二の鳥居、そして本殿前に三の鳥居があったという記述があることから、かなり規模の大きな神社であったことが分かります。鳥居から境内の途中にはすでに民家が立ち並んでおり、戦後に開発が進んだと思われます。

 竹山神社の創建は1938年(昭和13年)年2月28日、創建当時は無格社でしたが、後の1945年(昭和20年)年、台湾総督府によって郷社に列せられました。御祭神は「開拓三神」である大国魂命、大己貴命、少彦名命。そして明治天皇、北白川宮能久親王で、例祭日は明治天皇ご生誕の日である11月3日と定められていました。

 ゆるやかな坂道を抜けると竹山公園と書かれた大きな碑が見えて来ます。この公園の敷地が、もとの竹山神社の境内だったようです。周囲には鎮公所をはじめとする公共機関、テニスコートなどもありました。
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 この公園入口の両脇には大きめの石灯籠があります。資料によれば、戦後もこの石灯籠の置かれた位置は変えられていないようですので、ここが境内への入り口といえるでしょう。そして、この石灯籠のすぐ後ろに二の鳥居が建てられていました。

 日本時代の写真を検証すると、下の写真、右から2番めの男性の後ろに柱が見えますが、これが二の鳥居とみてよいでしょう。その下の写真、二の鳥居前で撮影されたと思われる記念写真では、かすかに本殿の手前にあった拝殿のような建物が確認できます。
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 現在の石灯籠が置かれた場所から本殿までの敷地は、現在は広場のようになっており、何も残っていません。日本時代の写真を見ると、ここに拝殿があり、鈴や賽銭箱が置かれていることから、通常の参拝者はここで参拝をしたようです。
 また、結婚式など特別な場合には昇殿参拝のようなかたちで参拝したのだろうと推測されます。後ろのほうに、本殿に続く階段が見えます。ただ、現在では、本殿があった一段高い場所に続く階段と、それを取り囲む石垣だけが往時を偲ばせてくれます。
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 境内とはちょっと離れた場所に、狛犬が一対と参道にあった石灯籠が置かれています。921大地震の際に倒れたものを、この場所へ移したそうです。石灯籠に刻まれた奉献の日時、奉献者の名前などは例によって削られてしまっているのがほとんどですが、中には完全に残されているものもありました。「竹山庄協議會員一同」と読めます。

 また、一対の狛犬はほぼ完全なかたちで残されており、竹山に広がる豊かな自然を高台から眺めています。片倉佳史さんの著作でも紹介されている竹山神社の社務所は、残念ながら921大地震後に撤去されてしまったそうです。

 いずれにせよ、思いがけない竹山神社との出会いのあった南投訪問でした。
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by ritouki | 2012-08-10 23:27 | イベント