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by ritouki

李登輝元総統が南投、台中を視察する「生命之旅」へ 1日目

 李登輝元総統が台湾各地を視察し、地方の状況や市井の人々の声を聞く「生命之旅」。今回は、1999年に発生した921大地震の被災地である台湾中部の南投や台中に出掛けました。訪問する場所は、いずれも921大地震と関連の深い場所が選ばれたということです。

 一行は台北駅から午後12時30分発の台湾高鉄に乗車し台中へ。今回も総勢30名弱のメディアが同行取材を行なっています。約50分で台中駅に到着。すぐに車に乗車し、最初の訪問地である「南投県中寮郷清水国小(小学校)」を訪問します。
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 清水国小は921地震で校舎が半壊。しかし、当時の呉校長らの努力により、校舎を再建。現在では木々に囲まれたこの地の学校らしく、木造の美しい校舎がそびえています。

 現在の児童数は全校で100名前後。そのうち3分の1が「新台湾の子」、つまり、台湾人と外国人の両親のもとに生まれた子供たちが占めているそうです。

 そんな子供たちの歓迎を受けた李元総統は目を細めて子供たちが披露する胡弓の演奏やダンスに見入っていました。途中「望春風」が演奏されると、一緒になって歌を口ずさむ姿も。
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 挨拶に立った李元総統は「大地震が起きたとき、皆さんはまだ生まれてなかったんですよね。ここは田舎ですが、私も田舎の生まれです。将来、皆さんはこの田舎の環境を逆に活用する方法を考えていかなきゃならない。しっかり勉強してくださいね」と呼びかけました。その後、子供たちとの記念撮影が終わると、握手ぜめ。地震が起きた時も、李元総統が現役の総統として民主化を進めた時代も知らない子供たちですが、いつか大人になってこの日のことを思い出すかもしれません。
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 出発が近づいてくると、曇り模様の空から雨が落ち始め、いつの間にかどしゃ降りに。「晴れ男」の李元総統には珍しいはずなのですが、台風に祟られた雲林編といい、今回といい、ちょっと天気が心配です。
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 続いて清水国小のすぐそばにある「瀧林書齋」を訪問。「瀧林書齋」を主宰する廖修霖さんは以前、米国に暮らし、事業にも成功していましたが、却って故郷への思いは募り、921大地震の発生を機に「異郷で成功したのだから、故郷で成功しないはずはない」との思いで米国を引き上げ、台湾へ帰ってきたそうです。
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 廖さん夫妻は、故郷の中寮に「瀧林書齋」を開き、子供たちに英語を教えたり、コミュニティの場所を提供するなど、地域の発展に大きな貢献をしています。子供たちから「廖爺爺」と親しまれる廖さんから、これまでの経緯や説明に耳を傾けていた李元総統は「地方には埋もれた優秀な人材がたくさんいる。そんな子供たちに教育のチャンスを与えて育てていかなければならない。手弁当でそうした活動を続ける皆さんに敬意を評したい」と話しました。また、手伝いに来ていた高校生たちには『哲人政治家 李登輝の原点』を手渡し激励しました。
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 続いては埔里に移動。南投県は面積が広く、山地が多いため、車での移動には時間がかかりますが、比較的大きな村から村へは高速道路が整備されているため快適。一時間ほどで「紙の教会」がある桃米村へ到着。 
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 豊かな自然に囲まれた園内には、美しい池や歩道が整備されていて、その奥に「紙の教会」があります。説明によると、桃米村は台湾でも有数の生態系が残されており、台湾固有のカエルの8割、台湾に生息する418種の蝶のうち約300種がこの桃米村で観察できるとか。こうした特色を残しつつ、地震の復旧を進めていこうということで意見が一致し、自然をテーマにしたした街づくりを推進したそうです。

 「紙の教会」はもともと、1995年に発生した阪神淡路大震災によって焼失した神戸カトリック鷹取教会の仮設礼拝所でした。震災後に作られた仮説の教会は10年にわたり、地域の人々に貢献していましたが、2005年ごろに「役割を終えた」ということで撤去されることになっていました。
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 それと前後して、同じ地震被害地域ということで交流を続けてきた訪問団が台湾を訪れました。その際、紙の教会が取り壊されることを聞いた台湾側の関係者により、台湾への移設が決まったそうです。この教会は直径33センチ、長さ5メートルの紙管約60本を柱にしてテント製の屋根を支える構造になっています。

 もともと「仮設」だった紙の教会が、台湾で再び生命を吹き込まれたのです。ただ、現在では教会としては使われておらず、コンサートやシンポジウムなど、イベントスペースとして利用されているとか。
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 視察を終えた李元総統は、紙の教会の前で記念の植樹。色々と説明を聞きながら、散歩道を出口に向かって歩いているとハプニング発生。もともとコースに組み込まれていなかったお土産屋さんに立ち寄りました。

 「お土産を買わないと」と、色々眺めていた李元総統は、小ぶりのバッグを選び、なんとポケットから1000元札を取り出して「これで」。ポケットに現金が入っていることにちょっとびっくりしました。メディアから「誰に贈るんですか」と聞かれると「奥さんが家で留守番してるから」と、なんとも愛情たっぷりな答え。雨に祟られるかと心配しましたが、この頃にはすでに晴れ間がさしていました。
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 これにて今日の視察は終了。再び車列は南投県を南下し渓頭へ。宿泊先のホテルでは従業員総出の拍手で出迎え、地元の人々が出席する晩餐会も開かれました。李元総統は疲れも見せず、晩餐会でもパワフルな挨拶を行い、健啖ぶりを見せました。
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 明日は主に台中を視察。走行距離200キロの濃密な視察日程が組まれています。
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by ritouki | 2012-09-11 23:35 | イベント