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by ritouki

李登輝元総統が南投、台中を視察する「生命之旅」へ 2日目

 南投県と台中を視察する「生命の旅」2日目の朝は、南投県渓頭にある「渓頭米堤飯店」で迎えました。昨夜、車列を組んで山道を走っていたら、突如ヨーロッパの城を模したホテルの外観が現れたので驚きました。

 午前9時20分からホテル内の一室で、同行メディアを対象にした記者会見。今回は日本のメディア6社も同行しており、李登輝元総統も台湾語と日本語と中国語を使い分ける忙しい会見となりました。
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 昨日、やはり台湾メディアが最も関心を持っているであろう尖閣諸島について、何度か質問が発せられましたが、李元総統は「知らない、わからない」と答えていました。

 今朝の会見では、メディアからの質問に先駆けて李元総統がご自分で「皆さんが一番聞きたいのは尖閣のことでしょうね」と先制パンチ。従来の主張と変わらず「日台間に尖閣に関する主権問題は存在しない」と明言し「ただ残っているのは漁業権の問題だけ。他人の家のことをあなた方は干渉するのか。美人を見て自分の嫁だというようなものだ。台湾の経済はずっと停滞している。馬政権は尖閣のことを毎日大声で主張しているが、もっと景気回復に力を注ぐべきだ。国民は尖閣のことなど見向きもしない」と述べました。

 その後、香港の愛国教育や、台湾の将来の行方などについての質問があり、1時間ほどの会見を終えた後はホテルの庭先で記念植樹を行い出発。到着時と同じく、従業員総出の拍手で送られました。
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 本日最初の訪問先は竹山鎮にある「南投県茶葉運銷合作社」。南投県といえば、台湾烏龍茶の名産地として有名です。高い山がそびえ、寒暖の差が激しい天候が芳醇な香りの烏龍茶を育てます。台北に店を構える茶葉問屋はほとんどが南投県から茶葉を仕入れているといっても過言ではないでしょう。

 1980年代まで、台湾の茶葉生産は紅茶や緑茶が多く、輸出量が生産量の7割以上を占めていました。しかし、国内の台湾烏龍茶に対する需要が高まると同時に、人件費の高騰によってコストがかさんだことで紅茶や緑茶は国際競争力を失い、現在では輸出が占める割合は2割弱だそうです。
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 「南投県茶葉運銷合作社」は従来、自分たちで製造や改良、販売を行なっていた茶葉生産業者が協力しあい、南投名産の台湾烏龍茶生産をさらに活性化させようと設立されたものです。
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 農業経済学博士で、台北市長時代には猫空の茶葉生産業者改革を手がけたこともある李元総統のため、茶葉生産に対しては強い関心を持っています。香り高い烏龍茶を片手に業者からの説明に耳を傾けていました。

 続いては、南投市のパイナップルケーキで有名な「微熱山丘」を訪問。創業5年あまりのパイナップルケーキブランドですが、今や台湾で「微熱山丘」の名前は新しいかたちのパイナップルケーキを象徴するブランドとして知られています。

 従来のパイナップルケーキの餡は、通常のパイナップル半分、冬瓜半分で作られるのが普通でした。しかし「微熱山丘」の餡は、土パイナップルという、そのまま食べるには非常に酸味が強い品種のものを100%使っています。餡のなかには果肉がゴロゴロし、酸味のある味は大ヒット。それまでのパイナップルケーキの概念を覆すものでした。

 到着すると、たくさんの観光客の注目を浴びながら、まずは昼食へ。「微熱山丘」の従業員のための食堂を使い、まるで自宅で食事するような雰囲気でした。食事を終えて視察に移ると、観光客に気軽に話しかけたり、握手を求められたりと大忙し。
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 日本メディアに対しても「来年、東京に店が出来るんだよ。しっかり宣伝してくださいよ」と自ら名刺を配ってアピール。ここでも、昨日と同じくポケットから現金を取り出してパイナップルケーキを購入しました。
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 「微熱山丘」を後にし、車列は南投県を北上し霧峰の「国立自然科学博物館 921地震教育園区」を訪問。先ほどまでは標高の高い場所にいたので比較的涼しかったのですが、ここでは太陽が容赦なく照りつけて気温もかなり高め。
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 園内には、921大地震で崩壊した学校をそのまま地震教育に活用するため保存されています。盛り上がって使いものにならなくなったグラウンド、崩れ落ちた校舎などがそのまま保存され、地震の脅威を物語っています。ここでも李元総統は「日本にもこうした施設がありますか」と日本メディアに問いかけ、311大震災に関しても、堤防の整備の必要性などを語りました。
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 続いて「霧峰農会酒荘」を視察。この地で作られる「香米」を原材料に、日本酒の生産が行われている場所です。農協にあたる霧峰の農会では「台農71号」の生産に成功。この米に付加価値をつけるため、日本の酒蔵と協力し、日本酒の生産に成功したそうです。

 ここでいきなり李元総統に名指しされ「これを持って帰って、今夜みんなで飲みなさい。日本に協力してもらって出来上がった台湾の日本酒なんだから、日本でも売れるように協力してください」と、またまたポケットマネーで購入。ありがたく頂戴しました。

 午後4時すぎ、台中市内に入った車列は「台中育嬰院」へ。こじんまりながら美しい中庭に、赤レンガの建物が映えています。ここでは、知恵遅れや障害を持った子供たちが共同生活を送っています。
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 暑さでやや疲れ気味の表情だった李元総統も、子供たちによる太鼓演奏の歓迎で満面の笑顔。施設の概要説明を受けたあと、活動教室では再び子供たちが歌声を披露してくれました。目の前の女の子を手招きして抱き上げる李元総統は、まるでひ孫を慈しむ好々爺の表情でした。また、施設へは李元総統から寄付が贈られました。
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 晩餐会は民進党の林佳龍・立法委員主催によって台中市内の「永豊棧酒店」にて。李元総統は挨拶で、将来の台中市長候補と目される若手ホープに対してエールを送りました。
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 賑やかな晩餐会も9時前にはお開き。走行距離200キロの視察はさすがに疲れました。今夜は台中市内のホテルへ投宿し、明日は午後まで台中近辺での視察を行う予定です。
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by ritouki | 2012-09-13 23:03 | イベント