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by ritouki

来春の李登輝学校へ、緑島の下見 その1

 今月初めにも訪れた緑島へ再びやって来ました。来年春に予定している第19回・日本李登輝学校台湾研修団の下見です。
 台北の松山空港から飛行機に乗れば50分で着いてしまう澎湖島とは異なり、緑島へはどんなに早い手段を駆使しても、台北松山空港→国内線で台東空港→徳安航空で緑島と、かなり手間が掛かります。
 しかも、台東から緑島への飛行機は定員が17名、冷房もなく水蒸気で涼をとります。台東の空へ飛び上がると、すぐに海上へ出ますが、もう海の向こうには緑島の陸影が見えています。エメラルド色の水面には、飛行機の影が映っていました。
 台東から緑島空港まではわずか15分。着陸間近、上空から眺める海は、底まで見渡せるほどの透明度です。
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 着いてすぐにホテルへチェックイン、荷物を置いてバイクをレンタルしたらすぐに下見開始です。まずは、3週間ほど前に滞在したばかりの「緑島人権園区」へ。
 戦後の台湾に吹き荒れた国民党独裁政権による「白色恐怖」の時代、反体制発言をした人はもちろん、日本統治下で高等教育を受けた知識人など、たくさんの無辜の人々が無実の罪で逮捕され、この緑島へ送られたり銃殺されたりしました。そしてこの長く暗い時代に光が差し込むには、1980年代後半、李登輝総統の登場まで続いたのです。
 現在、多くの政治犯が収容されていた監獄は保存され、人権園区として生まれ変わりましたが、大きく分けて、収容していた政治犯を集中的に管理するために建設された「八卦楼」のあるエリアと、「新生訓導処」と呼ばれる労働キャンプのエリアに分かれています。
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 下見ではこの二つのエリアを順番に下見。来春の李登輝学校では、実際に政治犯として逮捕され、この緑島に十年近く収容されていた受難者の方にご同行いただいて、当時の体験談や現場の説明などをしてもらう予定でいます。
 この緑島を訪れるのは三度目となる私も、監獄に足を踏み入れるとその凄惨さに言葉を失います。画像にはありませんが、一部の監獄には壁や地面、ドア一面に分厚いマットが敷かれています。これは、壁などに頭を打ち付けて自殺するのを防ぐためのものだとか。国民党の白色恐怖は、人々から生きる権利も死ぬ権利も奪ったのです。
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 また、人権園区から砂浜沿いに15分ほど歩くと、小高い丘にいくつもの墓石が立てられた「十三中隊」と呼ばれるエリアに出ます。収容されていた男性政治犯は一個中隊数十名で、12の中隊に分かれていました。収容中、不慮の事故や病気、自殺などで亡くなった政治犯の亡骸はこの地に葬られ「十三中隊」と呼ばれるようになったそうです。
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 人権園区の向かい側には「人権記念碑」が建てられています。壁には、この緑島の地に収容されていた人々の名前が、収容されていた年数とともに刻まれています。先日、陳文成博士基金会の活動に参加した際、蔡焜霖先生に教えていただき、寸劇として披露した于凱さんの名前もありました。
 また、『醜い中国人』などの著作として知られる作家、柏楊の言葉が刻まれています。
「在那個時代 有多少母親 為她們被囚禁在這個島上的孩子 長夜哭泣!」
(あの時代 どれだけの母親たちが この島に閉じ込められている子供たちのために
 夜を泣き明かしたことだろう)
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 その後、牛の頭の横顔のように見えることから名付けられた「牛頭山」へ。遠く眼下に人権園区を見渡せるこの山のてっぺんからは、晴れていれば美しい夕焼けをみることが出来ます。ただ、今日は残念ながら雨模様で夕焼けはおあずけ。

 引き続きバイクで緑島を時計回りに一周。島の南東からは美しい夕焼けを見ることが出来ました。また、遠くに蘭嶼の島影を見ることが出来ましたが写真でお分かりになるでしょうか。
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 途中からは夕闇の訪れとともに、台風の影響で大粒の雨に。島の南端あたりはほとんど景色も見られず、ひたすらホテルへの道をバイクで走るはめに。
 ホテルで着替え、小雨のなかを夕食に出かけましたが、食事中にはまるでバケツの底が抜けたかのようなどしゃ降り。いつまで待ってもやみそうもなく、仕方がないので濡れるのを覚悟でホテルへと戻りました。
 もうひとつ、下見しなければならない重要スポットとして「朝日温泉」が残っていますが、ホテルのフロントで確認したところ、先日の台風で設備が被害を受け、ただいま修復中のために営業時間が夜間のみに制限されているとか。となれば、朝日を見ながら温泉につかるというのは無理なので、夜に出掛けるしかありませんが、営業時間は午前2時まで、さてこの大雨やむかどうか。。。
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by ritouki | 2012-09-23 22:42 | イベント