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by ritouki

黄昭堂主席の墓参で台南へ

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 昨夜は台北市内の会場で「黄昭堂主席記念音楽会」の夕べ。そして今朝は7時半に集合して台南の七股へ黄主席のお墓参りです。

 本来なら台南までは新幹線を利用したほうが早くて快適なのですが、嘉義との県境に近い七股までは、いずれにせよ新幹線嘉義駅からバスを仕立てなくてはならないことや、40名近い参加者があるということで、台湾独立建国聯盟がバスを用意してくれました。

 先日、独立聯盟の王康厚前秘書長から「聯盟がバスを出すけど、一緒に墓参に行きませんか」とお誘いいただきました。高座会などのイベント続きでオーバーヒート気味だったものの、私の人生を変えたと言っても過言ではない黄主席の墓参ともなれば、不義理をすることは「日本人がすたります」。

 数年前の日本李登輝学校台湾研修団。当時、台湾で語学留学中だった私は、今後のことについて選択をしなければいけない時期に来ていました。台湾で引き続き語学を学ぼうか、本格的に進学をしようか、仕事を探そうか、それとも日本へ帰ろうか。ある人からは、語学学校はたとえ何年通っても語学学校にしかすぎない、とアドバイスされ、それではどうしようか、と。

 そんな頃に参加した李登輝学校の講義中、黄主席は突然私の名を呼び「台湾の国際法上の地位っていうのは、これまでの世界のどこにもなかったような状況なんだ。あんた、これからこのことを研究して論文書いたら面白いのが書けるよ」と言われたのです。そのひとことで即断即決、私は台湾で進学し、本格的に勉強することを決めたのです。

 それから数年、最初の頃の専門とは多少変わったものの、あのときの黄主席のひとことがなければ、私はもしかしたら違う選択をしていたかもしれません。そういう意味で、黄主席のひとことは私の人生を「変えた」ともいえるでしょう。もっとも、後になって黄主席にそのことを話したら「あん?私、あんたにそんなこと言ったの?」と言われ大コケ。とはいえ、独立聯盟のリーダーとして30年以上、有象無象を見抜きながら生きてきた黄主席一流の「おとぼけ」だと私は思っていますが。

 黄昭堂主席の命日は昨年の11月17日、金美齢先生の夫君、周英明先生の命日は11月9日、今年でもう七回忌。お二人とも偶然にも同じ霜月に旅立たれました。

 台南までは台北からバスで4時間弱。早朝に出発したこともあり、高速道路はなかなか快適です。一眠りして目が覚めると、車窓からはギンギラギンの陽が差していて暑いほど。気温はなんと32度!外の景色は強い日差しにビンロウの木が揺れる、まさに台湾南部のそれです。

 途中、嘉義駅で新幹線組や高雄から参加組を拾い、七股の市街地で昼食。台南の海側に近いため、海鮮が名物とのこと。厚切りの刺身や、台北では見たこともない「サバヒー(虱目魚)の胃袋」を堪能。
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 昼食後は、川面に釣り糸を垂らしたり、子供たちが水遊びをする光景を横目に田んぼを突っ切って「七股納骨堂」へ。実は私自身、お墓があると勘違いしていましたが、納骨堂に奥様のお骨とともに納められているとのこと。青空に瓦屋根が映える立派な建物が見えてきました。地元の独立聯盟メンバーの皆さんもお待ちかねです。
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 今回の慰霊祭には、日本からも黄主席のご長男である黄正澄さんと奥様、三男の黄正嘉さんも日本から出席。昨夜の音楽会の際にも登壇されて皆さんに挨拶されました。
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 嘉義から合流した陳南天主席や、姚嘉文・元考試院長、詩人の李敏勇氏らが挨拶。晩年、奥様を失ってからキリスト教の洗礼を受けた黄主席のため、賛美歌を歌い、聖書の一節を読み、日本語で「千の風になって」を歌いました。
 この「千の風になって」の歌詞は、死しても魂は墓の中ではなく、私たちの身近なところにいて、私たちを見守ってくれる内容。思春期の頃から「死」というものを哲学的に考え続けてきたという李登輝元総統が「生と死」を語る際によく引用されるのもこの歌。6年前に亡くなった周英明先生も、闘病中、見舞いに訪れた教え子たちに「悲しまなくていいよ、僕は歌にあるように千の風になるんだから」と話し、涙を誘ったそうです。
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 最後に遺族を代表して長男の正澄さんが挨拶に立たれました。生前、父である黄主席から「お前たちにはなんの財産も残してやれなかった」と言われたそうですが「財産どころか、こんなにも父を慕う先輩方や友人の皆さんに囲まれて、父も私たちも本当に幸せものです」と話されました。ご長男の正澄さんは笑うと目尻が黄主席にそっくりです。
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 参列者全員が黄色い菊を献花し、納骨堂のなかで黄主席と奥様にお参り。無事に1年目の墓参が終わり、遺族の皆さんも聯盟の方々もホッとされたことと思います。
 バスでの帰り道、途中まで同乗していただいたのは黄主席の弟さん。こちらもやはり笑顔が黄主席そっくりです。今般の台南での慰霊祭一切を準備して下さったとか。また、黄主席が30年以上にわたり台湾を留守にされている間、故郷台南の家を守ってきた方でもあります。
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 帰り道は日曜日の渋滞に巻き込まれ、新竹あたりからバスは数時間ノロノロ運転。やっとの思いで台北に着いたのは午後9時すぎ。台南からなんと6時間以上バスに揺られていたことになります。ともあれ、無事に墓参を終えてホッとされたご家族を交え、お酒に目のなかった黄主席に献杯し散会となりました。
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by ritouki | 2012-11-11 23:26 | イベント