『許世楷と台湾アイデンティティ外交』新刊発表会
2012年 12月 23日
本日午後2時から、台北市内の福華大飯店において呉三連台湾史料基金会主催による『許世楷と台湾アイデンティティ外交』新刊発表座談会が開かれました。
会には許世楷大使の前任を務めた羅福全大使ご夫妻、陳唐山・民進党立法委員、呉栄義・新台湾国策シンクタンク理事長、辜寬敏氏、黄昆虎氏らがお祝いに駆けつけました。8月には羅大使の『羅福全と日本外交』がすでに刊行されています。
基金会の呉樹民董事による開会の辞で始まった会では、張炎憲・台湾教授協会会長が司会を務め、2000年に始まった民進党政権下における羅福全、許世楷両大使の日台蜜月時代を振り返りました。
続いて許世楷大使による「日本が直面する内外問題」と題した講演。2004年から2008年までの4年間、駐日代表(駐日大使)を務めた許世楷氏は、1972年の断行以来続いていた日台間の閉塞した状況を打破、これまでにない高レベルの政府間交流を実現しました。
在任中、台湾国民の訪日ノービザ措置、運転免許証の相互承認、万博への参加、大西洋マグロ類保存委員会(ICCAT)やWHO鳥インフルエンザ専門家会議への出席など、従来には実現されなかった日台間のトピックについても語っています。
また、来週にも誕生する自民党の安倍政権に対しても非常に期待しているようで、日本に対する熱い眼差しを感じました。ただし、それは今後も台湾が日米と同じ価値観を有していくならば、という条件付きで、もし中国と手を繋ぐという選択をした場合、安倍晋三氏は台湾最大の敵となるだろう、と台湾の政府や有権者に対して釘を刺していました。
講演の途中、蔡英文・元民進党主席が到着。会場の拍手で迎えられました。演台に立った蔡主席は、民進党が初めて与党となった際に直面した対日外交の難題に、羅福全大使と許世楷大使というこれ以上ない優秀な外交官が日台関係を新しいステージに導いてくれた。台湾国民はこの10年来、許大使が日本やアジアにおける台湾の役割を作り上げてくれたことに感謝しなくてはならない、と述べました。
また、その人生を革命家として、政治家として、外交官として捧げてきた許世楷大使の正義感、情熱、智慧が詰まったこの新刊はきっと台湾をより良い方向に導く一助になってくれるだろう、と結びました。
会はその後、張炎憲氏、謝南強氏、陳唐山立法委員、施正鋒氏による座談会が開かれ、午後5時に閉会しました。